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Directed and Produced by
純谷吉松(Itoya Kichimatsu)


■2002年5月のニュース一覧
▼[2002.05.31]地味な鉄則
▼[2002.05.29]音の価値,について
▼[2002.05.28]犯罪者への対処法
▼[2002.05.27]価値を計れ謀れ
▼[2002.05.25]血と,明日の太陽
▼[2002.05.23]こことそこの意識
▼[2002.05.21]「はじまり」の所在
▼[2002.05.19]キッズ・オン・ザ・ネット
▼[2002.05.17]光,刹那,羅刹
▼[2002.05.15]ネットワークを愛す
▼[2002.05.13]捨てるべきジレンマ
▼[2002.05.11]……
▼[2002.05.09]堅実と賢明のうp
▼[2002.05.08]売子の木の歌
▼[2002.05.06]流通と拡散と加速
▼[2002.05.01]5月の綿雪

■2002年06月のニュース一覧
■2002年04月のニュース一覧


 
[2002.05.31]
  地味な鉄則


 ▼『SirCam』を超えた『Klez.H』(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/Enterprise/News/2002/Item/020529-2.html


 妙にハデさはなくて,でもとっても大事なことを身につまされるほどきっちりを教えてくれる。クレズは決して非難できないウイルスだ。

 「クレズ・H」ウイルスが,サーカムから過去最強のウイルスの称号を奪った。感染はサーカムの倍以上の規模で,さらに拡大中だ。サブジェクトや送信者名,ファイル名などを変装させることが,クレズを大きな成功に導いている。

 クレズは面白い。さまざまな偽装を使いこなすハイブリッドさ,それに巧妙に混乱につなげるポテンシャルの高さは,なかなか感動させる。だが,微妙に漂うこの「地味さ」はいったいなんなんだろう? パソコン系のニュースサイトには結構な数の記事があがっているけど,なんかニムダやサーカムの時のような盛り上がり(?)には欠ける。記事にあるように過去最強のウイルスに認定されたってのに,一般紙などではとんとお目にかからない。このつつましく奥ゆかしい存在感はなんなんだなんなんだ??

 クレズの最大の特徴は,差出人の詐称。それによっていらぬ警告メールを暴発させた。もともと,ネットワークとは自己管理が必要な社会であり,他人に警告してもらったり,誰かに守ってもらうことを求めたり…というのでは,生きていけない。ウイルス対策ソフトを入れたからもう安心,なんてことは絶対なく,常に自分のことは自分で守る,そのために必要な知識と技術は得続けなくてはいけない,というのは当たり前で当然な鉄則だ。クレズは,地味に地味に,その地味な鉄則を教えてくれている。




 
[2002.05.29]
  音の価値,について


 ▼米レコード協会など、ファイル交換サービスの米Audiogalaxyを提訴(Impress INTERNET Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2002/0527/riaa.htm


 日本のレコード会社は,音楽を愛してなどいない。本当に愛しているなら,音の価値を暴落させるような行為を,できるわけがない。ユーザーは,きちんとそれを認識して,今後接するべきだ。

 米国レコード協会(RIAA)は,ファイル共有サービスを提供するオーディオギャラクシー社を著作権侵害で提訴した。これでRIAAは,ナップスター以後のほとんどのファイル共有サービスを提訴したことになる。

 今発売されているSPA!にコピープロテクトCD,もとい,意図的に変造したオーディオディスクによって音質が劣化している証拠,それを販売することの法的な問題点などが示されている(後ろの方の「e定食」というページ)。特に,音が悪い,と感じる明確な理由が示されている点は興味深い。米国レコード業界の方が正直で,そんなことをするのは正しい解決法でないことを知っている。ファイル共有ソフトの会社を訴えて,裁判費用で資金難にして,潰す方が正しい,と思っているだろう。

 個人的な意見だが,私には音質の劣化などわからない。56kbpsのMP3ならそりゃはっきりわかるが,128kbpsなら問題ない。正当な価格で128kbpsのMP3を販売していれば,私は購入する。私がLive365でネットラジオをやっているのもその56kbpsは商品価値を維持しているような利用であると認識していないからだ(聴いて気に入った人はCDを購入することになる)。なのではっきり云えば,利用料を請求されても払う意志は_ない_。そのような音の価値は人それぞれだとは思うが,高圧的に決められて拘束される必要はないと考える。なかには,ほんのわずかな音質の劣化も我慢できないという人もいる。MP3なんてどんなビットレートでも聴くに値しないと思う人もいる。音質をとことん追及できる高額のオーディオセットで音楽を楽しんでいるのに,なんでわざと劣化させたようなものを買わなければいけないのか,と思うのは当然のことだ。その変なオーディオディスクを作っているような人たちは,音の価値を決めるに値しない人たちだ。私たちは,彼らを信用する必要はない。(via 音楽配信メモ




 
[2002.05.28]
  犯罪者への対処法


 ▼変造オーディオディスクが Mac の便秘を誘う(TidBITS)
  http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/TidBITS-jp-631.html#lnk3


 開いた口がふさがらないような犯罪者への対処法。牢屋にぶち込んで社会から無視できるようにする,または,ただ単に,抹殺する。

 意図的に変造したオーディオディスクをマックのCDドライブに入れると,もう取り出せなくなり,起動できなくなることがある。アップル社はそれに対して回避策を提示しており,当初修理補償は行わないとしていた。イライラさせられることが多い問題だが,もっとも嫌なのはレコード会社が顧客を犯罪者扱いしていることだろう。そんなコピー予防策を実施しても,ピアトゥピアにファイルが流れるのを防げることはないのに。

 「コピープロテクトCD」という言葉も使わずに,「意図的に変造したオーディオディスク」ときちんと名付けているTidBITSのテキストはステキだ。私も真似させていただく。記事中にあるように,この変なオーディオディスクはCDを買う気をなくさせる取って置きの効果がある。すなわちこの変なオーディオディスクの発売による効果をきちんと説明するなら,「これは買う価値のないものなので,どこかの誰かがリッピングして共有してくれるのを待って,無料でダウンロードするのがよいでしょう」と云うことだ。レコード会社はそう云って発売しているようなものなので,私たちはそれに従おう,喜んで 仕方なく;-P。

 iTunesを前面に押し出して,変なオーディオディスクにもほぼオフィシャルで反対しているアップルにとって(MacWIREの記事),記事にもあるマックで取り出せなくなるという変なオーディオディスク(過去記事)はまったくもっていい迷惑。誰が修理費用を出すのかと云われれば,その変なオーディオディスクを作った人に決まっている。現在の日本では,レコード会社もCDショップも自分たちには責任なんてないという顔をしているが,彼らを許す必要などない。犯罪者には犯罪者に対する対応をするだけだ。さて,どうしましょうか?




 
[2002.05.27]
  価値を計れ謀れ


 ▼プレイヤーはオンラインゲームにお金を払う気なし(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/business/story/20020523103.html


 ネットワークでこそ,そのものの価値は試される。金を払う価値がないゲームも,音楽も,全部捨てられる。

 頻繁にゲームを楽しんでいる人の31%が,オンラインでゲームをプレイしているが,その中でオンラインの方がいいと考える人は1/3に過ぎず,料金を支払ってもいいと答えた人は1割に満たない,という調査結果が出ている。

 PSOのゲームキューブ版が近づいてきている。ネットワーク接続が別売りというハンデはFF11をみてても強く感じるけど,ネットワーク上にないゲームなど存在しなくなるのは確かなのだから,早く対応したものの方がエライ。なんにしても,次の世代のゲームハードは設計が,すべてネットワークが基準となる。

 面白ければお金を払うのは全然惜しくないと思う反面,ネットワークであることが普通であるのに,それにお金を取られることに違和感も感じる。ただ生きて生活しているだけでも税金は取られるのと同じだと思えばそうなのかもしれないけど,食べ物を買うのにお金は払うけど食べることにはお金を取られることはない。ここのところ,微妙だけど,ゲームとて,音楽とて,本当に楽しめるものには対価は払われる,その価値があればね。まぁコンシューマーゲームでそれを知っているのはPSOだけだけど。




 
[2002.05.25]
  血と,明日の太陽


 ▼ウラドウスキー氏,大いに語る――「ネットはすべてを変革する」(ZDNetエンタープライズ)
  http://www.zdnet.co.jp/enterprise/0205/24/02052401.html


 先日のZDNet編集長のコラム(過去記事)と同じ言葉が繰り返されるのをみていると,もうこれがなんの変哲もない,スタンダードな歴史であることを,知る。

 IBM社の技術戦略担当副社長,ウラドウスキー・バーガー氏のインタビュー。「ネットはあらゆるものを変革し,日常を変えつつある。次のレベルでは,グリッドのよってネット上のどこにでもアプリケーションを分散させることができる。すべてのリソースはリンクし,それらが仮想コンピュータとして動く」。

 陽は暮れて,陽は昇る。次の太陽が昇ったとき,私たちは5MBの音楽ファイルなどコンマ1秒でやり取りし合う。600MB のムービーファイルなど手を握って開く間に送り合う。そこでどのような価値基準を持って生きるのか,変わる必要があるのは,映画業界とか音楽業界だけでなく,私たちも同じだ。

 変わらなければ,生きることは許されない。現在の音楽業界をみていれば感じるように,どうせ死ぬ人たちには,同情も憐れみも,賛美も肯定も,批判さえも,なにひとつ必要ない。あえてなにかするとしたら,鉄バット持って一思いに殴り殺すだけだ。その方が明日の太陽に失礼にならない。礼賛の鐘,輝る陽の光は,そこで流される血もきれいに洗い流して,そしてなにも残さない。「主は云われた,信じるにたるのは,明日の太陽だけだ」。




 
[2002.05.23]
  こことそこの意識


 ▼大規模ネット犯罪、犯人が捕まらないのはなぜ?(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0205/20/ne00_cybercrime.html


 安全に対する意識も違う。罪に対する意識も違う。そして,罰に対する意識も違う。ここで生きるなら,その意識で生きなければいけない。

 ここ1,2年のあいだに起こったオンライン犯罪で,いまだ未解決のものは多い。ハッカーは警察の捜査が入る前に,利用したサーバーのログを掃除してしまっていることなどが原因だ。だがオンライン業者のセキュリティ対策が甘い場合も多い。

 それにしても,35万件のクレジットカード番号だの35万人の顧客情報だの,手の届く場所にそれが置いてあるのかと思うとぞっとしたりもする。とは云うものの,実際にはオンラインで商売しているサイトの現状はそんなものだろう。9割方はとほほな感じで,なにか起きるのは当然という体制であろうことは察することができる。

 だけど私たちはそれに結構気付いている。そんな完璧な安全などあるわきゃない,と感じている。ネットワークのせいで利益がはねられたとガタガタ騒ぐ人たちにも,ネットワークなんだから当たり前でしょとしか思わない。同情なんてする必要がない。でも,だからといってもう生きられないと嘆くわけでもなく,オンラインのお店に侵入するような犯人が捕まるまでネットワークに行かない,ということもない。なにも変わらずに生き続ける。ここ,の意識は違う。その意識に,もうみんな慣れている。




 
[2002.05.21]
  「はじまり」の所在


 ▼オンライン音楽は急速に主流になりつつある〜米国調査(Impress INTERNET Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2002/0520/vsp.htm


 なぜ,ベルテルスマンが何億もの金を出しながらナップスターを得たのか。そして生き存えさせるのか。それは,「はじまり」の可能性を持っているものには,なんにでもすがりたい,その気持ちだけだ。

 ベンチャー・ストラテジー・パートナーズ社の調査では,成人ネットユーザーの1/3は音楽をダウンロード,ストリーミングで聴いたことがあり,そのうち1/3は頻繁にそれを行っているという。音楽の有料サービスにいくらなら支払うかという質問には,1ヶ月50曲で15ドル,無制限ストリーミングで1ヶ月12ドルが適当としている。

 昨日,ベルテルスマンのナップスター買収が大きく報じられている(CNET Japanの記事)。一般紙などの報道の仕方はあのナップスターもとうとう軍門に降った,という感じだが,考えなければいけない論点はまったく異なる。ナップスターはその「はじまり」にこそ意味があり,「終わり」には大して意味はない。どこに買収されようが,破産しようがなんの意味もない。その「はじまり」,である音楽の自由流通は,未来永劫終わりはないんだからね。

 ネット以外では生き延びられない音楽は,いまだに消費者にふさわしい値段付けができていない。冷静に音楽を売っているサイトに行くと,冷笑しか出てこない。記事の調査結果にある消費者が望む価格と,現行CDと同じ値段を付けようとする音楽業界とのあいだの開きは大きすぎるというより将来的にも一致するとは思えず,「主流になりつつある」というタイトルは「音楽業界との一致をみずに」という条件付きだ。つまり,こちらは「はじまり」も起こってない。そして,現行の音楽業界のなかに「はじまり」を創れるものはいない。それを知っているから,ベルテルスマンはナップスターを殺せないんだ。




 
[2002.05.19]
  キッズ・オン・ザ・ネット


 ▼若いウイルス作者が陥る罠(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0205/17/cead_vamosi.html


 変なことに気付かない人たちが作る社会は,変なことだらけだ。それに馴染むな,変ぢゃない社会を1からつくれ,ここに。

 若いウイルス作家やスクリプトキディは,毎日ネットを徘徊している。彼らが犯罪者にならないよう,自己を表現する方法をみつける必要がある。17歳のベルギーの女性ウイルス作家であるギガバイトは,ウイルス作成は「他の趣味と同じくアートの一種。勉強もできる」と語っている。

 「ネットワーク」と,人間の「心」はイコールで結ぶことができる。心をそのままデータ化したら,それは現在のネットワークと同じ様相をみせる。数えきれないほどのウイルス,いつまでもやまないハッキングとクラッキング,悪意を持ったアクセス,悪意を持ったメール送信,悪意を持ったスキャニング,そして悪意を持ったファイル・シェア。それらは否定してもなくならない。私たちの心には,常にそれらが存在しているのだから。

 嘘で塗り固められたリアルと比べたら,ここはなんて正直さに満ちた,さわやかな場所だろう。心地よく,潤いに満ちている。嘘をつくことに慣れきって,自分の気持ちを自分で把握できないようなクズな大人には,この地のよさなど理解できない。だから,人々に手錠をかけたり,口を塞いだりということしか思いつかない。リアルではそれを社会を維持するための秩序と呼ぶが,嘘と手錠でがんじがらめにする同じ社会をネットワークにつくる必要はない。私たちは心のなかにある悪ではないものも,知っている。くだらない政治,くだらない経済,くだらない秩序を捨てて,爽快な空を見上げる,高く,高く。




 
[2002.05.17]
  光,刹那,羅刹


 ▼モニターの反射光でプライバシーを覗く(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/Enterprise/News/2002/Item/020515-2.html


 刹那に動く光は,意味を持っているのかもしれない。光の強さ,点滅する速度,点滅するリズム,冗長になにかを語っている。そこに般若がいる,鬼がいることも,知ることができる?

 ケンブリッジ大学の準教授が,特殊な光検出装置,いくつかのハードウェアがあれば,CRTモニタをみることなく,漏れる光だけでモニタの内容を細部まで識別できることを発表した。太陽光などがあると読み取りは難しくなるが,今後まったく新しいプライバシーへの脅威になるかもしれない。

 面白い(^_^。以前あったモデムのLEDランプでデータの内容がわかるというのもすごいと思ったが(過去記事),モニタをみずにほわんと漏れる光だけで書いてあることがわかるなんて,なんか妙に惹かれる。その以前にあったLEDランプについて云うと,最近2台のパソコンをネットにつなげて,ひとつのパソコンはモニタでみているのだけど,もうひとつは画面をみずにサーバーとして使っていて,たまにLEDランプがカチカチと動くのをみている。

 で,あ,今アップロードしているなとか,ダウンロードしているなとか,相手との通信速度は20kb/sぐらいだなとか,50kb/sぐらい出てるなというのがだいたい推測できてる感じがする(もちろんLEDランプは点滅しているだけで)。間違ってるときも当然あるんだけど,あってるときが増えてる感じがする。どうランプの点滅が違うんだと云われても言葉で説明はできず,みてるとわかるとしか云えないんだけどね(^^ゞ。なにげに,光だけで理解できることは多いのかもしれない,と思う今日この頃なのでした。




 
[2002.05.15]
  ネットワークを愛す


 ▼Why the network will be the computer(ZDNet News)【英語】
  http://techupdate.zdnet.com/techupdate/stories/main/0,14179,2864976,00.html


 同じクラスの自殺した女の子は,死んでもうひとつの世界へと行ったが,そこはネットワークとつながっていた。リアルの物差しで生きるのをやめれば,世界は10万倍に広がり,1日に10万年のときを過ごせる。愛は,すべてを救うアドレスだ。

 ここ数年で,NetWorld+Interopも様変わりした。実際私たちは,インターネットの変曲点にいる。サン・マイクロシステムズ社の言葉を借りるなら,ネットワーク自体がコンピュータになるサインがみえる。音声もビデオもデータもすべてがネットワーク上で移動する。たとえば音声がIPで移動することで従来の電話サービスに取って代わる。すべてはIPシステムに移動する。

 米国ZDNet編集長の格言に近いコラムは,さまざまなことを考えさせる。ビジネスに関する話だけでなく,私たち自身も大きく変わらなければいけないことを知る。すべてが,本当にすべてがネットワークとともにあるのだ。ネットワーク上に移動しないものなどない。ならば。既存の音楽はネットワークへの移行を考えているか? 既存のラジオはネットワークへの移行を考えているか? 既存のテレビは? 新聞は? 雑誌は? 小説は? 映画は? DVDは? パソコンは? もし考えていないんだったら,それらは滅びる,絶対。生き残ることなどできない,現在の音楽業界のように食い尽くされて終わる。

 ネットワークを愛す。いや,愛せないのだったら,実はリアルでももう生きられないんだ。みんな,身体をリアルに残して意識をネットワークにどんどん移行している。その先になにがあるって? すべての意識をネットワークに移動し終わったら,身体もネットワークへ移動させるだけだ。そのときに,ネットワークにいる方法を得られなかったものに存在価値はない。リアルの世界は愛するにたる存在だった。だが,その価値はもう消滅した。リアルの10万倍の価値を持つ,ネットワークへ,いざ。




 
[2002.05.13]
  捨てるべきジレンマ


 ▼Mac OS X: 新しさのジレンマ(TidBITS)
  http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/TidBITS-jp-629.html#lnk3


 でも,OS Xはもう「新しさ」ではなく,日常である。日常に対応できないようなメーカーは,捨てた方がいいのかもしれない。クォークも,ピクセラも,リアル・ネットワークスも。

 TidBITSではマックOS Xの記事が増えつつあるが,すべてのマックの10%以下しかOS Xを走らせていないと予想される。だが今後,OS Xの記事は増え続ける。レトロスペクトとフォトショップのOS X版リリースで,ユーザーが多いクラシック・アプリはあとクォーク・エクスプレスだけだ。OS Xへの移行は大変だが,文句をいうときはもう過ぎた。

 多くの人はOS Xを使っていない,というのはよく感じる。実際に知り合いでもOS Xを使っている人は少ない。私個人の話をすると,OS 9で起動するのは1%ぐらいで,あとはすべて(クラシック環境は使用するが)OS Xですんでいる。でもそういう人は少数なんだろう。発売から1年以上が経ったが,1年というのは17年間を費やして定着したOSを移行する期間としてやはり短いのか。ちょっと,残念だけど。

 特に特定の仕事でマックを使っている人はほぼ100%移行していない。DTP,オーディオという,マックが占める割合が多い仕事がその特定のものだ。DTPにとってはクォーク,フォトショップ,イラストレーターがすべてそろったとしても,印刷屋,出力屋も含めてフォント・アプリ環境が整うまではお預けだ。いやはやまったくいつになることやら,と思ってしまう。でも。解決しないジレンマに苛立つよりは,捨てるものは捨てた方が早いのかも,しれない。ダメな会社はいつまでたってもダメなんだし。




 
[2002.05.11]
  ……


 ▼Sambaへの攻撃? 波紋呼ぶMSの技術文書(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0205/10/ne00_samba.html


 ……。

 マイクロソフト社が発行したファイル共有プロトコルに関する技術解説文書は,一部デベロッパーを拘束する制限事項を含んでいる。具体的にはオープンソースのサンバが該当しそうだ。マイクロソフト社が言外ににおわせているこの脅しは,サンバへの直接攻撃ともいえる。

 前日サンバが便利だと云った矢先にこの騒ぎ,なんともはや(過去記事)。マックOS Xにはサンバクライアントが最初から備わっており,ウインドウズのファイル共有にアクセスできる。また,サンバ・シェアリング・パッケージを導入することで,ウインドウズからマックOS Xの共有フォルダをみることもできる。これはTILにある通り,Net BIOSではなくIPによるものだ。特に「サンバ・シェアリング・パッケージ 1.5 + 日本語アップデート」は異常に使いやすい。絶品だと思う(via Samba for Mac OS X)。

 とってつけた言い回しをするのは面倒なので云ってしまうが,マイクロソフトというのはどうしてここまでバカなんだろうか。ウインドウズを使っている人が愚かしく感じられるほど,そのバカさ加減はもう云い表しようがない。今回の話を聞くともう,同社を2分割だの3分割だと云う前にさっさと潰して抹殺したほうが世の中のためになると真面目に思う。ただ,まぁ今年に入ってからのMSの七転八倒ぶりはギャグ漫画のように面白く,その焦りからの今回の基地外行動と思えば納得できる。もう5年ぐらいはウインドウズは生き残るかと思ったけど,そんなに先は長くなさそうだね。




 
[2002.05.09]
  堅実と賢明のうp


 ▼Apple Computer「WWDC 2002」基調講演レポート(Impress PC Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/2002/0507/wwdc2.htm


 チーター(10.0)からピューマ(10.1),そうしてジャガー(10.2なのかな?)の歩みは,ステップとして堅実。OS Xの力を引き出す,賢明な肉付けが進んでいる。0から作られるOSだからこそ,この堅実と賢明こそ,絶対。

 アップル社の世界開発者会議(WWDC)はマックOS 9の葬送セレモニーから始まった。そして晩夏にリリースされるマックOS Xの次期メジャーアップグレード「ジャガー」が紹介された。マルチスレッド化などのファインダーの改善,「シャーロック3」「クイックタイム6」,手書き文字認識の「インクウェル」,大幅に機能アップする「メール」,「iChat」などだ。

 OS Xになって長いこと困っていたことにIMソフトがある。OS 9でもGerry's ICQに頼り切りだったが,OS Xになってマヂで日本語を受け付けてくれるものがなくなった(-_-;。OS Xならもっとも早く解決しそうな問題なのに…。やっとこさ極上のIMソフトであるProteusによって解決。日本語も問題ないし,過去ログも完璧,ICQ・MSN・AOL・Jabber・Yahoo!のすべてのIMがきれいにまとめられてて重宝している。だがまぁそんな状態なので,OS XでIMを使っている人は少ない(と思う)。iChatによってユーザーが増えれば,まだまだ機能としては勝っているProteusも役立つというものだ。

 サンバ(smb://)によってPCと手軽に接続できる点はありがたい。クリックひとつでFTPサーバー,ウェブサーバーとなる点もありがたい。このネットワーク性がふんだんさがあって,その上でマックOSなんだから他になにが必要なんだろうというのが,OS Xを使ってて思うぶっちゃけ話。OS Xのメジャーアップグレードは,ハナから内蔵されているものが次々と結実して楽しさをみているようだ。まだまだいっぱいある,ジャガーでもまだまだ出てきてない力が,ある。




 
[2002.05.08]
  売子の木の歌


 ▼eMac sound system details unveiled(MacCentral)【英語】
  http://maccentral.macworld.com/news/0205/01.tripath.php


 売子の木(エゴノキ)に瞑る五月 征矢朽ちて

 アップル社のeMacは,トライパス・テクノロジー社のオーディオアンプを搭載している。従来のデジタル・アンプよりパワー,大きさ,重さ,価格などで優れている。今後,トライパス社はアップルとオーディオ・ソリューションで協調していくという。

 教育用になんでと思うほどのClass-Tデジタル・アンプなのだが,なるほど,トライパスのチップがすべての製品に乗るのか,素晴らしい。私は聞き比べる耳を持たないが,アンプ・チップによって音質は大きく変わる。特にデジタルアンプからスピーカーまですべてをひっくるめて提供できる新iMacやeMacではその効果は大きく,尊大だ。利点は大きい。音楽がわけわかめな方向に向かうのは勝手だが,アップルは正道に向いている。

 清楚さに凛たる機微を知るエゴノキの白き花の落ちる季節,eMacの示す衒いはそれに似ている。だが初夏に付けるエゴノキの実には皮に毒が含まれており,秋になると皮をはぎ,種を落とす。アップルが手にしたトライパスのアンプ・チップも音楽を食い散らかす虫けらを殺す毒である。本当の音楽の木を育たせるため,その毒こそが必要な時。故に,エゴノキはこの5月に咲く。いつか,種を落とせる日まで待つため。




 
[2002.05.06]
  流通と拡散と加速


 ▼Googleが有料の“人力”検索サービスをテスト(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0204/22/e_search.html


 図書館にあるもんならネットに全部ある。調べられんこっちゃない。あとは調べる手はずだけや。

 グーグル社が立ち上げた新サービス「グーグル・アンサー」は,有料で調査員が質問に答えてくれるものだ。このようなサービスは他にもあり苦戦しているところも多いが,グーグルはシンプル・高品質で差別化したいとしている。

 図書館司書という仕事は山奥の誰も来ない図書館で本の整理をしていればいいというものではなく,ときにさまざまな質問を投げつけられるものだ。基本的に肉体労働だし。百科事典を始め資料となるものは山とあるわけで,それらをあされば答えがみつかることもあるだろうが,なかにはとんでもなく個人的な質問をしてくる人もおり,それらにも素っ気無くは扱わない日本の図書館司書のサービスは過剰すぎるという意見もある。本来は調査のための参考の本を紹介したり,そのような本を探すのを手伝うのが仕事だけど,答えを直接求める人も多い,ようだ。

 グーグルのサービスは有料で行う,図書館司書サービスといってもいい。資料となる図書に当たるものは,ネットワークだ。現在,なにか調べ物をしていてネットワークでみつからんことはない。答えがない,ことはなく,探せてないだけだ。みたい動画も必ずあるし,ききたい音楽も必ずある。それはケチのつけようのない,この世界の絶対定理だ。そんななかで,著作権がどぉこぉいうてるのは,アホでしょ。情報の流通と拡散は,加速するもの。




 
[2002.05.01]
  5月の綿雪


 ▼Apple,「eMac」で教育市場に再度力点(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0204/30/e_emac.html


 アップル社は教育市場向けにオールインワン・コンピュータ「eMac」をリリースした。700MHzのG4プロセッサ搭載で999〜1,199ドル。実質上,教育市場を作り上げたのはアップルだが,現在同社はデル社の後を追う立場にいる。

 降る雪の中,雪のような真白い帽子を被り,真白いコートを着込んだ彼女が駈け回っていた。そのいでたちは,冬のあいだ,ずっとずっと雪が降り続ける街で,ちょっと目を離すとそのまま離れ離れになって,もう二度と会えなくなるような,そんな気分にさせた。まぁ,季節は移ろった後だったが,結局本当に会えなくなるんだけれども。

 新緑のきらめきが眩しい季節になったとき,彼女がこんなことを云った。「5月の陽射しは,本当は冬の雪と同じなの。光の屈折がちょっとずれているだけ。同じ屈折の光を当てれば,この新緑も果てまで続く雪原になるわ」。僕は,「まさか…,雪を降らす雲は,この季節には遥か北の果てへと行ってしまっているさ」と答えたが,彼女は同じ微笑みを絶やさずにいた。

 手をかざして,空の陽射しをさえぎって,見上げる。彼女の白帽を見失ったのは,5月の高い青空の下だった。あの冬の日の,降る雪の下と同じ帽子は,最後にこうつぶやいたような気がする(声はなく,優しい唇の動きだけだった)。「雪が春の風に溶けるように,春の風が新緑に消えるように,忘れてください。旅することは景色を忘れていくこと,生きることは,人を忘れていくこと,なんだから」。




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